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補助抗癌剤治療の考え方

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【 ID-1822 】

ID ID-1822 性別 女性 年齢 44歳
病 名 その他(卵管癌(大網にも癌あり)) 進行度 ステージ3
手術歴 2001年09月 子宮.卵巣.卵管.大網切除。
放射線
治療歴
- -
抗癌剤
治療歴
- タキソール.パラプラチン
現在、最も辛い症状

なし
(手術の影響で、排尿が術前よりスムーズではない。下り物がある)

相談その1

 抗癌剤治療(続き)6回目(2002年2月タキソール・パラプラチン)7回、8回、9回目(予防として。2002年7月、8月、9月パラプラチン)
  (質問)経口5FU錠の服用を継続した方がいいでしょうか?
  2002年10月より5FU錠を朝夕各1錠服用しております。主治医からほとんど副作用はない薬だから6年間服用しますと言われました。
  約2か月前から少々ぶつけても内出血が見られること、掌が異様に赤くなったり、掌と足の裏に黄色く見える部分があることが気になり始め、主治医に確認しましたところ、7月、8月とも血液検査の数値では血小板減少や、肝機能の低下などは心配ないとの回答です。
  医療関係の友人、インターネット等で副作用を知り、他の病院の放射線科の医師には、「5FUは内臓がぼろぼろになるし、発ガン性もある。肝臓を悪くして亡くなったり、この薬のために癌になって亡くなる人もいるので、私なら5FUは服用しません。すぐに止めなさい」と言われました。
  現在判断しかねておりますので、お忙しいところ申し訳ございませんが、先生のご助言をよろしくお願いいたします。

相談その2

(質問)有効な「再発防止法」はないでしょうか?
  9回の抗癌剤治療後は@毎月血液検査による腫瘍マーカー等のチェックと主治医による腹部エコー検査A5FU錠服用B半年に1度、MRかCTの検査を受けております。手術後、腫瘍マーカー、MR、CTの結果、異常はありません。
  体調は、自覚するところでは術前と同じで、辛い点はなく、仕事の量を減らし、運動や食事に気をつけ、明るく生活できております。ただ常に「死刑囚」のような不安はつきまとい、何か有効な「再発防止策」はないものかと考えております。
  現在リンパ球を使用する(?)「免疫療法」に関心を持っておりますが、先生のお考えをお教え下さい。


平岩 正樹 先生の回答

 進行卵管癌の手術後に、補助抗癌剤治療として、薬1年間のタキソール+パラプラチンを受けておられます。

 主治医の考えるUFTは、補助抗癌剤治療の第二段です。

 御質問の前提は
 @補助抗癌剤治療の意義
 A補助抗癌剤治療として妥当なものは何か
の二点です。

 @については、ID−1770、1274、1035、807、231、172、94、23等に対する私の回答を参考にしてください。またこのサイト内の『読む抗癌剤 拡張版』の第49話が参考になるかもしれません。

 Aとして、まずUFTが妥当かどうかですが、科学的根拠はないと思います。今年のASCO(米国臨床癌学会)で初めて、StageTbの肺癌に対してUFTの補助抗癌剤治療の有効性が大規模試験で立証されましたが、他の癌については、ほとんどデータがありません。

 ただし、1年間本格的な補助療法を行い、次は弱い薬に切り替える、という主治医の考え方は、充分に理解できます。

 補助抗癌剤治療の損得勘定は難しく、主治医の「ほとんど副作用はない薬」という利点も、他の放射線科医の「5FUは内臓がぼろぼろになるし、発ガン性もある。肝臓を悪くして亡くなったり、この薬のために癌になって亡くなる人もいるので、私なら5FUは服用しません。すぐに止めなさい」という欠点も、両面を考えなければなりません。ただ、後者は明らかに誇張で「内臓がぼろぼろ」などはとても科学的な言葉とは思えません。「この薬のために癌になって亡くなる人」も稀な例です。逆に副作用死の絶対にない薬が、どのくらい世にあるかを考えると、明らかな誇張です。通常の風邪薬や鎮痛解熱剤でさえ、たとえば、致命的なスティーブンジョンソン症候群を起こすことが稀にあるからです。

 まだUFT6年間も極端に長い投与で、続けるとしてもせいぜい2年程度ではないかと思います。

 このサイト内の『読む抗癌剤 拡張版』の第48話は、補助抗癌剤治療に私が思い悩んだある乳癌患者の話です。参考になるかもしれません。

 私なら、タキソール+パラプラチンのような強い抗癌剤を、薬を変えて、半年程度追加することを考えるかもしれません。

 卵管癌に対する補助療法としての養子免疫療法も、まだ実証されてない実験的治療ですが、副作用がほとんどない点が利点、効く可能性が低い点が欠点と考えられます。自己血リンパ球による免疫療法については、高山教授に御質問されることも、大変参考になるかもしれません。

 「死刑囚」は想像に余りある御言葉ですが、再発した人以外は、癌に関してすべて「灰色」です。白に近い灰色から、黒に近い灰色まで様々ですが、およそこの世に、癌に関して「白」と言える人はひとりもいません。その意味において、あるいは人の死因は癌だけではないということも含めて、すべての人は本人が自覚するかどうかは別として、「死刑囚」という運命を背負って生きています。

 

 


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